ヒプノセラピー

中国には「病由心生」(病は心から生まれる)という言葉があり、日本には「病は気から」という言葉があります。どちらも心の不調が体の不調に繋がっていることを表しています。したがって、体の病気を治療するだけではなく、心(精神面)の治療も欠かせません。心の病に有効な治療法としてヒプノセラピーが挙げられます。

 

心と体の相互作用は密接な関係にあり、その人の健康にも影響を与えます。社会的・精神的ストレスが原因で、糖尿病、高血圧、片頭痛など、様々な病気が引き起こされ悪化します。しかし、精神的要因がどの程度影響しているかは、同じ疾患のある人の間でも大きく異なります。病気として発病しなくても、ストレスが原因で身体に症状が生じることがあります。これは身体が精神的ストレスに生理的に反応するからです。例えばストレスから不安が生じ、それがきっかけとなって自律神経系やアドレナリンなどのホルモンが分泌され、心拍数や血圧が上昇したり発汗量が増加したりします。ストレスは無意識に筋肉の緊張も引き起こし、首や背中の痛み、頭痛などの原因になります。 心と身体は相互に影響を及ぼします。精神的要因が様々な身体の病気の発症や悪化の原因になることもあれば、身体の病気が患者の思考や気分に影響を与えることもあります。

 

欧米や日本では国家資格はありませんが、欧米では催眠療法家が協会を結成し、催眠療法士 (hypnotherapist) を認定する仕組みが一般的です。最も歴史があり世界的にも最大の規模を誇る米国催眠士協会 (National Guild of Hypnotists, NGH)、アメリカでは米国催眠士協会に続く規模の米国催眠療法協会 (American Board of Hypnotherapy, ABH)、国際催眠連盟 (International Hypnosis Federation) などがあります。

 

日本語で言えば「催眠療法」です。 「催眠」と聞くとどうしても「催眠術」のイメージが強いのですが、ヒプノセラピーで使用する「催眠」とは深くリラックスした状態のことを言います。 ヒプノセラピーは近年になって新しく発見された目新しいテクノロジーではなく、人類の歴史と共に歩んできた最古のセラピーと言えます。ヒプノセラピーとは無意識の深い領域にアクセスできる技術です。催眠状態において人の潜在意識にアクセスして、暗示やイメージをインストールしたり、退行テクニックを使って幼い頃のトラウマや前世イメージを癒すことで、心の状態や行動に肯定的な変化を促そうとするセラピー手法のことを言います。

 

古代エジプトの眠りの寺院、中世フランスのメスメル、20世紀の精神科医のミルトン・エリクソン、医師たちに催眠を教えたデーブ・エルマン、米国催眠療法協会の設立者であるA・M・クラズナー、そして前世療法のブライアン・ワイスまで。 ヒプノセラピーは長い歴史を歩んできたセラピー手法であり、いつの時代においても人の心に深くアクセスして肯定的な変化を与えてきました。

 


メカニズム

イメージを利用したセラピーをイメージ療法と言い、ヒプノセラピーはイメージが重要な役割を担っています。例えばレモンのような酸っぱい物をイメージすると唾液がでます。実際口にしなくても潜在意識は現実とイメージの区別ができないと言われています。 この働きを利用して望む行動や状態のイメージを潜在意識にインストールすることで、肯定的な行動を促そうとするセラピー手法のことを一般的にイメージ療法と呼びます。 イメージを使ったテクニックは様々なシーンに活用されており、スポーツ選手のイメージトレーニングなどにも使用されています。

 

暗示療法とは、クライアントの潜在意識に肯定的な暗示をインストールすることで、肯定的な行動を促そうとする療法のことをいいます。

 

意識と無意識

人は意識と無意識の世界を持っていて意識の世界は10%くらいと言われています。 そして私たちは90%の無意識から大きな影響を受けています。 西洋においてこの考え方は心理学者フロイトによって提唱されました。

 

同じような考え方は古くから伝わるインドの思想にもあり、最も深い領域にある阿頼耶識(アラヤシキ)は私たちの前世の全ての記憶と前世で行ってきた全ての行為(カルマ)が保存されており、これも現在の私たちに大きな影響を与えているとされています。 ヒプノセラピーを通してこれらの深い意識にアクセスし、自我を肯定的なイメージに変容させたり、過去のトラウマを癒すことで人の心の状態や行動をより良い状態にすることができます。

 


年齢退行 前世療法

催眠状態において人の潜在意識にアクセスして暗示やイメージをインストールしたり、退行テクニックを使って幼い頃のトラウマや前世イメージを癒すことで、心の状態や行動に肯定的な変化を促そうとするセラピー手法のことを言います。

 

年齢退行

退行催眠で行うのは疑似タイムスリップ体験であり、意識です。クライアント自身の作った過去のイメージに戻ったことであり、本物の過去または前世ではありません。極稀に史実通りかなりリアルな前世体験を経験したクライアントが居るという報告があります。

 

社会学者のモリス・マッセイ博士(Morris_Massey)の調査研究によると、0歳から7歳までの時期は「刷り込み期」と呼ばれ、私たちはこの時期に様々な体験を通していろんな価値観を形成しました。 前向きになることができないネガティブな感情や信念もこの時期に作られたものが基盤になっていると考えられます。

 

年齢退行というテクニックを使い時間軸を過去にさかのぼり、潜在意識に抑圧されているネガティブな感情やネガティブな信念のルートを探りそれらを解放します。 年齢退行テクニックを使うと潜在意識に存在する傷ついたクライアント自身も癒すことができます。 またさらにもっと時間を戻すことで「胎児期の」と「前世」のイメージにアクセスすることもできます。

 

前世療法

前世療法とは私たちの時間軸に生まれる前の時間帯が存在するという前提に基づき「前世」※で体験したネガティブな感情や信念を解放して、心の状態を良い状態にしていこうとする自己解決のテクニックのことを言います。 前世という概念がとても宗教的な概念であるためにこのテクニックは様々な誤解を受けることがあるのですが、前世療法はスピリチュアルな側面だけでなく様々な症状を緩和することができ、心理療法として使用することができます。

 

※「前世」は催眠療法のプロセスであり、実際過去に有った事実とは限りません。多くの場合はクライアントの想像です。