氣功

氣功の発祥地は昔の中国大陸です。「氣功」という用語が記されている最も古い文献は晋王朝時代といわれています。「氣」の概念には長い歴史があります。氣功は通常吐吶、行氣、布氣、服氣、導引、煉丹、修道、坐禪に分けられます。古典的な氣功理論は伝統的な漢醫の健康養生理論に基づいており、古くから伝わっています。古来は病気の予防や治療するために氣功を取り入れていました。

1979年7月15日、中国国務院が開催した「中国氣功報告書」では、伝統的な訓練カンフーを総称して「氣功」と定めました。それ以前は「氣功」は一般的な用語ではありませんでした。

 

氣の概念

「氣」の本来の意味は人間が呼吸して体内に取り込む空気を指します。広い意味で氣は「エネルギー」の総称です。

漢醫の氣に関する概念には6種類あります。氣に関する病因を六邪(風、寒、暑、湿、燥、火)といいます。風疹は、風のように突然現れる発疹を指します。また場所が不確で動き回る疹のことです。漢醫の観点では氣の生理現象は営気、衛気、宗気などがあります。営気は体に栄養を与え、衛気は体を守り、宗気は生命エネルギーの源となります。氣は生理現象だけでなく、感情の意識表現として正気や邪気などを表すことにも使用されます。

氣功の「氣」の性質については未だ明確な結論は出ていません。

 

治療氣功の有効性について

氣の存在はよく議論されていますが、感じ方は人によって違うので感知できない人にはどんな説明をしても理解できません。ですが理解できなくとも効果が得られれば良いのです。現代科学では氣や氣功の理論やプロセスは解明できていないため、明確な説明ができません。

漢医学では人の身体は「氣・血・水」によって成り立っていると考えており、 これら3つの要素が体内をうまく巡ることによって健康が維持します。特に氣と血は「気が巡れば血も巡る」「気が滞れば血も滞る」とされ密接な関係にあります。

治療氣功の施術者は自らの氣を患者に送ることで相手の氣を操作し、氣の滞りを取ることが目的をとしています。一般的に知られているのは施術者が患者の身体に触れずに氣を送ることですが、患者の身体に触れて氣を送る場合もあります。優れた治療家は推拿・按摩・鍼灸などに氣功の技術を併用することも多くあります。

 

 

武術の硬氣功と軟氣功

硬氣功は氣功武術の一種であり、長期にわたる練習と精神的な鍛錬の後、修行者は身体の筋肉と骨の強さを利用して特定の呼吸法と組み合わせ、外部からの攻撃に抵抗する強力な防御を形成します。硬氣功の実践は、「念」によって体の特定の部分を強化することができます。

 

軟氣功は武術だけでなく、仏教の座禅瞑想、道教の養生功なども含まれます。硬氣功と違い、筋肉を引き締める必要はありません。気が散らないように、「心念」を意識して深呼吸をすることが基本となります。太極拳は軟氣功としてよく知られています。肺活量を強化するメリットが有り、激しい体力の消費も必要とせず、様々な筋肉を動かし、内臓を動かすこともできます。

 


調心 調息 調形

調心は氣功の主な鍛錬内容です。一般的なスポーツとの差別化の基本要素でもあります。調心の基本は「入静」と「存想」です。「存想」は思念を通して心の領域を想像し、この領域に溶け込む過程で自分自身を鍛えることです。気分を落ち着かせること、瞑想、座禅によって自身の心、精神を調整し鍛えます。調心は氣功の核心であり、難しいポイントなので成功させるには粘り強い忍耐力と長期的な鍛錬が必要です。

 

調息の別名は「吐納」、瞑想や氣功などの伝統的な健康維持方法によく見られる呼吸の用語であり、呼吸を調整する方法です。つまり、濁った空気を吐き出し、澄んだ空気を吸うプロセスです。吐納は呼吸だけでなく、人間と自然の間のコミュニケーションの方法を指し、自然との融合、溶け込むことを目的としています。更に生気を吸って、死気を吐き出し、不死の領域に到達することができると信じられています。

 

調形は動きの形を綺麗に調整することです。体の筋肉、臓器、血管、生命エネルギーを適切に運動させるために特定の動作で調整します。動作には主に「動」と「静」に分けられ、氣功取得には必須です。

 

流派

氣功にはいろんな流派があります。長い歴史の中で人々に広まり、多くの医学、儒家、道家、仏家、武家などの流派が生まれました。医療氣功は健康管理と延命を強調、道教氣功は生命修行、仏教氣功は心の理解を強調、武術氣功は肉体強化と力の発揮およびその他の武道の応用に焦点を当てています。

また、氣功の特徴と効能により導引派、吐納派、静定派、存想派、周天派の五大流派に分けられます。